ゴルフのスコアを守るために知っておきたいアンプレアブルの正しい処置とルール

ゴルフを楽しんでいると、林の中や深いラフ、あるいは木の根元など、物理的にボールを打つことが非常に困難な状況に遭遇することがあります。

そのような場面で無理をして打とうとすると、空振りやシャンクを誘発し、結果的に大叩きにつながるケースは決して少なくありません。

ここで重要になるのがアンプレアブルというルールで、これはプレーヤー自身が「プレー不可能」と判断したときに宣言できる救済措置のことです。

1打のペナルティを支払う必要はありますが、無理な体勢から打つリスクを回避し、次のショットを安全な場所から打てるという大きなメリットがあります。

初心者の方は難しそうと感じるかもしれませんが、基本的な3つの選択肢と正しいドロップの方法さえ覚えておけば、トラブル時にも焦らず対応できるようになります。

この記事では、アンプレアブルの基本的な宣言のタイミングから、バンカー内での特例、さらにはルール改正による変更点まで詳しく解説していきます。

アンプレアブルの基本ルールと選べる3つの救済方法

アンプレアブルを宣言するタイミングとプレーヤーの判断基準

ラウンド中にボールがブッシュの中に入ったり、スタンスが取れないような場所に止まったりした際、プレーヤーはいつでもアンプレアブルを宣言することができます。

このルールの最大の特徴は、同伴競技者やマーカーの同意を必要とせず、自分自身の判断だけで決定できるという点にあります。

ただし、唯一の例外としてペナルティーエリア内にあるボールに対しては、アンプレアブルを宣言することはできず、ペナルティーエリアの救済を受けることになります。

自分の技量やその場の状況を冷静に分析し、これ以上打つのが危険だと感じたら、迷わず宣言することがスコアを守るための第一歩です。

1打罰を加えて元の位置から打ち直すストロークと距離

アンプレアブルを選択した際の1つ目の選択肢は、直前のストロークを行った場所に戻ってプレーを再開する方法で、これをストロークと距離の救済と呼びます。

例えばティーショットが林の奥深くに飛び込んでしまい、出すことさえ不可能な場合は、1打罰を加えて3打目としてティーイングエリアから打ち直すことが可能です。

この処置は、ボールがどこにあるか確認できたものの、救済を受ける場所が近くに見当たらない場合や、完全に脱出ルートがない場合に非常に有効な手段となります。

元の位置に戻る手間はかかりますが、最も確実なライから次のショットを打てるため、精神的な安心感を得られる選択肢とも言えるでしょう。

ボールがあった地点から後方線上にドロップする救済

2つ目の選択肢は、ホールとボールを結んだ直線上であれば、ボールがあった位置よりも後方に下がってドロップすることができるというものです。

この方法は、ボールのすぐ後ろが障害物で打てない場合でも、後方に下がれば平らなライや障害物が気にならない場所が見つかる可能性があるときに役立ちます。

以前のルールとは異なり、現在は基点となるポイントを決めてからドロップを行いますが、距離に制限はなく、自分が打ちやすい距離まで下がることが認められています。

ただし、後方に下がるライン上に別の木や障害物がないかを確認しないと、再びトラブルになるリスクがあるため注意が必要です。

ホールに近づかず2クラブレングス以内にドロップする処置

3つ目の選択肢は、ボールがある地点を基点として、ホールに近づかない2クラブレングス以内のエリアにドロップする方法で、これをラテラル救済と呼ぶこともあります。

ボールが木の根元にある場合や、看板などが邪魔でスイングができない場合に、横に移動して打てるようにするための最も一般的な選択肢です。

この処置を選ぶ際は、まずボールの位置にマークをしてから計測を行いますが、ドロップしたボールが再び打ちにくい場所に止まらないよう慎重に行う必要があります。

ドロップする際の正しい救済エリアと計測方法の解説

アンプレアブルの処置を行う際、ドロップを行うエリアである「救済エリア」を正しく特定することは、ルール違反を防ぐために不可欠な作業です。

2クラブレングスを計測する場合は、パターを除くクラブの中で最も長いクラブ、通常はドライバーを使用するのが一般的です。

計測した範囲内にボールを膝の高さからドロップし、そのボールが救済エリア内に止まればインプレーとなりますが、エリア外に出た場合は再ドロップが必要です。

正しい手順を踏まないと誤所からのプレーとなり、さらにペナルティが加算される可能性があるため、計測とドロップは慎重に行いましょう。

救済を受けるときにクラブを使ってエリアを決める重要性

実際にコースでアンプレアブルの処置をするときは、目分量で済ませるのではなく、しっかりとクラブを使ってエリアを示すことが推奨されます。

ティーマーカーや予備のボールなどを使って基点と限界点を明確にすることで、同伴者とのトラブルを避けることができ、公平なプレーにつながります。

特に競技ゴルフでは厳格な運用が求められるため、ドライバーを取り出して半円を描くようにエリアを確認する習慣をつけておくと良いでしょう。

ルールブックに則った正確な処置は、自分自身のプレーに対する自信と集中力を高める効果も期待できます。

プレーの進行をスムーズにするための迅速な選択

トラブルに陥った際、どうにかして打とうと時間をかけて悩むことは、スロープレーの原因となり同伴者に迷惑をかけることにつながります。

状況を見て「これは無理だ」と判断したら、すぐにアンプレアブルを宣言し、次の処置に移ることがスマートなゴルファーの振る舞いです。

事前にどのような選択肢があるかを頭に入れておくことで、現場で慌てることなく、最適な救済方法を即座に選ぶことができるようになります。

スコアメイクだけでなく、全体のリズムを崩さないためにも、決断の早さは非常に重要なスキルとなります。

バンカーや特定エリアでの特例と注意点

バンカー内でアンプレアブルを宣言したときの選択肢

バンカー内のボールが目玉になっていたり、アゴに近すぎて打てない場合でも、アンプレアブルを宣言して救済を受けることが可能です。

基本的には通常のアンプレアブルと同じく3つの選択肢がありますが、1打罰で処置する場合は、バンカー内にドロップしなければなりません。

つまり、ストロークと距離以外の選択肢（後方線上、2クラブレングス）を選ぶ場合、ボールは依然としてバンカーの中にある状態になります。

ライの良い場所にドロップできれば脱出の可能性は高まりますが、依然として砂の上からのショットになるため、技術的な難易度は残ります。

バンカー外に出す場合は2打罰になる新ルールの解説

2019年のルール改正により、バンカー内のボールに対して、新たに「2打罰を加えればバンカーの外にドロップできる」という選択肢が追加されました。

これは、ボールとホールを結ぶ後方線上で、バンカーの後ろ側に基点を設けてドロップする処置であり、確実にバンカーから脱出できる強力な救済です。

合計2打のペナルティは痛いですが、アゴが高すぎて物理的に出ない場合や、一度のミスで大叩きするリスクを考えれば、戦略的な選択として非常に有効です。

ペナルティーエリアではアンプレアブルが適用できない理由

池や小川などのペナルティーエリア（赤杭や黄杭のエリア）の中にボールがある場合、アンプレアブルのルールを使用することはできません。

ペナルティーエリアに入ったボールは、そのまま打つか、あるいはペナルティーエリアとしての専用の救済処置を受けるかの二択になります。

アンプレアブルとペナルティーエリアの救済は似ている部分もありますが、基点の取り方やドロップできる範囲が異なる場合があるため、混同しないよう注意が必要です。

コース内で杭の色を確認し、自分がどのエリアにいるのかを把握することが、正しいルール適用の前提となります。

木の根元やブッシュなどトラブル時の賢いスコアメイク

ボールが木の根元に張り付いていたり、深いブッシュの中に埋まっている場合、無理に打とうとすると手首やクラブを痛める危険性があります。

また、少し動かすだけで1打費やし、結局次も打ちにくい場所という悪循環に陥るくらいなら、アンプレアブルでフェアウェイやラフに出す方が賢明です。

「もしかしたら上手く打てるかも」という期待は捨てて、確実に次打が打てる状況を作ることが、ダブルボギー以上を叩かないためのリスク管理です。

冷静に1打罰を受け入れる勇気を持つことが、結果的にそのホールの傷を最小限に抑えることにつながります。

競技ゴルフでも役立つルール改正後の変更点まとめ

近年のルール改正では、プレーのスピードアップを目的として、アンプレアブルを含む救済の手順が簡素化されています。

以前は肩の高さからドロップしていましたが、現在は膝の高さからのドロップに変更され、ボールが転がる範囲が予測しやすくなりました。

また、救済エリアを決める際の計測に使うクラブは、パター以外の最も長いクラブ（通常はドライバー）に固定された点も覚えておくべき変更点です。

これらの最新ルールを正しく理解しておくことは、競技ゴルフにおいて不要なペナルティを避けるためにも必須の知識です。

誤った処置をしてしまった場合のペナルティと訂正

もしアンプレアブルの処置を誤り、正しい救済エリア外からボールを打ってしまった場合、「誤所からのプレー」としてさらにペナルティが科されます。

重大な違反の場合は競技失格になる可能性もありますが、打つ前に間違いに気づけば、ペナルティなしで訂正することができます。

ドロップしたボールが想定以上に転がってエリア外に出たり、ホールに近づいてしまった場合は、そのまま打たずに再ドロップを行ってください。

ルールに不安があるときは、同伴競技者に確認するか、可能であれば処置をやり直す冷静さが大切です。

初心者が迷わないためのアンプレアブル活用術

初心者ゴルファーにとって、アンプレアブルは「罰」ではなく「お助けルール」であると捉えることが上達への近道です。

難しいライから何度もミスショットを重ねるよりも、1打払って打ちやすい場所にボールを置くほうが、精神的にも楽にプレーを進められます。

まずは「2クラブレングス」だけでも覚えておけば、カート道横や木の近くなど、多くのトラブル場面で救済を受けることができます。

ルールを味方につけて、無理のないマネジメントを心がけることが、100切りへの近道となるはずです。

まとめ：アンプレアブルのルールを味方につけてスコアアップ