ゴルフを楽しみにしていたのに当日は雨予報、もしくは前日の雨でコースコンディションが悪く、ボールが泥だらけになってしまったという経験は誰にでもあるはずです。
そんな悪条件の中でも、ゴルファーが少しでも快適に、そして公平にプレーできるように定められているのがプリファードライというルールです。
この言葉を耳にしたことはあっても、具体的にどのような手順でボールを動かして良いのか、またどの範囲まで許されるのかを正確に把握している方は意外と少ないかもしれません。
プリファードライは直訳すると「好ましいライ」という意味を持ち、特定の条件下でボールを無罰で拾い上げ、拭いてから状態の良い場所に移すことができる救済措置です。
このルールを正しく理解して活用することで、泥がついたボールによる予測不能なミスショットを防ぎ、スコアを大きく崩すリスクを減らすことができます。
この記事では、プリファードライが適用される場面や正しい処置の手順、そしてよく似ている6インチプレースとの違いについて詳しく解説していきます。
- プリファードライは悪天候時などに適用されるローカルルールである
- ボールをマークして拾い上げ汚れを拭き取ることが可能になる
- 適用範囲はフェアウェイなどの短く刈り込まれた区域が多い
- 処置を誤るとペナルティの対象になるため正しい手順が必要
プリファードライの基礎知識と適用される条件
image : golf-item-box- プリファードライとはどのような意味を持つゴルフ用語なのか
- 適用される具体的なコースコンディションと悪天候時の判断
- ローカルルールとしての位置づけと競技ごとの違い
- 6インチプレースとの違いと適用範囲の明確な境界線
- ジェネラルエリアやフェアウェイなど適用可能な場所の定義
- 初心者が間違えやすいルールの解釈と注意点
プリファードライとはどのような意味を持つゴルフ用語なのか
プリファードライ(Preferred Lies)とは、文字通り「好ましい(Preferred)ライ(Lies)」を選択できるという意味を持つゴルフ用語です。
通常、ゴルフは「あるがまま」の状態でプレーすることが基本原則ですが、コースの状態が著しく悪い場合に限り、特例としてボールを動かすことが認められます。
具体的には、ボールを拾い上げて泥などの汚れを拭き取り、ホールに近づかない範囲で、より打ちやすい場所に置き直すことができるルールです。
この処置を行うことで、芝が薄くて打ちにくい場所やディボット跡などからボールを救済し、フェアな条件でショットを行うことが可能になります。
冬場の芝が薄い時期や、長雨でグラウンドがぬかるんでいる時などに、コース保護とプレーの進行をスムーズにする目的で採用されることが多いです。
あくまで一時的な救済措置であり、いつでも自由に使えるわけではないため、スタート前にその日のルールを確認することが必須となります。
適用される具体的なコースコンディションと悪天候時の判断
プリファードライが適用されるのは、主に悪天候やコースメンテナンスの影響で、通常通りのプレーが困難、あるいは不公平になると判断された場合です。
例えば、大雨の翌日でフェアウェイ全体がぬかるんでおり、ランが出ないだけでなくボールに泥が多量に付着してしまうような状況が挙げられます。
また、エアレーション(通気作業)の直後や、芝の張り替え工事を行っているエリアがある場合など、コース側の事情で適用されることもあります。
この判断は個々のプレーヤーが行うのではなく、必ずゴルフ場の委員会や競技委員がその日の朝に決定し、クラブハウスやカートのナビ画面などで告知されます。
したがって、雨が降っているからといって自己判断で勝手にボールを動かして良いわけではなく、必ず公式なアナウンスを確認しなければなりません。
コンディション不良による「不運」を排除し、実力が正当に反映されるようにするための措置であると理解しておきましょう。
ローカルルールとしての位置づけと競技ごとの違い
プリファードライは、ゴルフルール(R&AおよびUSGA)の基本規則そのものではなく、各ゴルフ場や大会が独自に定める「ローカルルール」の一種です。
そのため、適用される範囲や移動できる距離などは、その日の委員会が定めた内容に完全に従う必要があります。
プロのトーナメントでも悪天候時には採用されることがありますが、その場合は非常に厳格な運用がなされ、距離も「1クラブレングス」や「スコアカード1枚分」など詳細に指定されます。
一方で、アマチュアのプライベートコンペなどでは、進行を優先するために少し緩やかな解釈で運用されることも少なくありません。
しかし、正式なハンディキャップを取得するためのラウンドなどでは、定められたローカルルールを逸脱するとスコアが認められない場合があるため注意が必要です。
その日が「ノータッチ」の競技なのか、それとも「プリファードライ」が適用されているのかを確認することは、ゴルファーとしての最低限の責務と言えます。
6インチプレースとの違いと適用範囲の明確な境界線
日本のアマチュアゴルフ界でよく耳にする「6インチプレース(6インチリプレース)」とプリファードライは、非常に似ていますが厳密には異なる概念です。
6インチプレースは、主にプレーの進行を早めるために日本独自に普及した慣習的なローカルルールであり、ボールを6インチ(約15センチ)動かせるというものです。
プリファードライは国際的にも認められた正式な用語であり、移動範囲も6インチに限らず、1クラブレングスなど状況に応じて設定されます。
多くのゴルフ場では「6インチ」と書かれていれば常に動かせますが、プリファードライの場合は「フェアウェイのみ」などの限定条件が付くことが一般的です。
混同しやすいこれら二つのルールですが、競技志向の強いラウンドでは6インチプレースは採用されないことが多いという点を覚えておきましょう。
用語の違いを理解しておくことで、同伴競技者との認識のズレを防ぎ、トラブルのないスマートなラウンドが可能になります。
ジェネラルエリアやフェアウェイなど適用可能な場所の定義
プリファードライが適用されるエリアは、「ジェネラルエリアの芝草を短く刈り込んである区域」と限定されるのが最も一般的です。
これは具体的に言うと、フェアウェイやグリーンのカラー部分などを指し、ラフや林の中などは対象外となることがほとんどです。
つまり、ティーショットを曲げてラフに入ってしまった場合、いくらボールが泥だらけでも、そこから有利な場所に動かすことは通常認められません。
しかし、コース全体の状況が極めて悪い場合には、「ジェネラルエリア全域(ハザードやグリーンを除くすべて)」で適用されるという特別ルールが出ることも稀にあります。
どこまでが「短く刈り込んである区域」なのか迷うようなセミラフの境界線では、同伴者に確認を求めるなどして慎重に判断することが大切です。
自分のボールがある場所が救済を受けられるエリアなのかどうかを正しく見極める力も、ゴルフのルール運用能力の一つと言えます。
初心者が間違えやすいルールの解釈と注意点
プリファードライに関して初心者が最も犯しやすい間違いは、ボールを拾い上げる前にマークを忘れてしまうことです。
グリーン上と同様に、ボールの位置をマークせずに拾い上げてしまうと、たとえプリファードライが適用されていても1罰打のペナルティを受ける可能性があります。
また、ボールを動かす際に、ホールに近づく方向へ置いてしまうことも当然ながらルール違反となります。
さらに、一度プレースした(置き直した)ボールを、「やっぱり座りが悪いから」といって再度動かすことは認められていません。
ボールを置いた時点でそのボールはインプレーとなり、そこからさらに動かすと誤所からのプレーやペナルティの対象となるため、置くときは慎重に行う必要があります。
良かれと思ってやった行為がペナルティにならないよう、手順を一つ一つ確実に踏む習慣をつけることが大切です。
実践での正しい処置方法とスコアを守るための活用術
image : golf-item-box- ボールを拾い上げる前のマーク手順とリプレースの作法
- 1クラブレングスや6インチ以内の移動範囲の測り方
- ボールの泥を拭くことができる条件とプレーへの影響
- プレース後のボールが動いてしまった場合の救済措置
- カジュアルウォーターとプリファードライの併用について
- コンペやプライベートラウンドでのスムーズな進行への貢献
ボールを拾い上げる前のマーク手順とリプレースの作法
プリファードライを適用する際の正しい手順として、まず最初に行うべきはボールの後ろにマークをすることです。
ティーペグやボールマーカーを使用して、ボールの直後に目印を置いてから、初めてボールを拾い上げることが許可されます。
拾い上げたボールはタオルなどで綺麗に拭くことができ、その後、規定の範囲内(例えば1クラブレングスなど)のホールに近づかない場所にプレースします。
プレースする際は、ボールを上から落とす(ドロップする)のではなく、手で慎重に地面に置くことがルールです。
良さそうなライを見つけたら、マークした位置を基準にして距離を確認し、その範囲内にボールを静止させます。
ボールを置き終わって手を離した時点でインプレーとなるため、その後にマークを取り除いてショットの準備に入ります。
この一連の流れをスムーズに行うことで、同伴者を待たせることなく、リズム良くプレーを続けることができます。
1クラブレングスや6インチ以内の移動範囲の測り方
ボールを動かせる範囲は、その日のローカルルールによって「6インチ」「スコアカード1枚分」「1クラブレングス」などと指定されます。
1クラブレングスの場合、通常はドライバーなど最も長いクラブを使って、マークした位置から半円を描くように範囲をイメージします。
6インチやスコアカード1枚分の場合は、目測で済ませることも多いですが、厳密な競技ではスコアカードの長辺などを使って確実に計測します。
この範囲内であれば、芝の上にふんわりと乗せることも可能ですし、ディボットを避けて平らなライを選ぶことも可能です。
範囲ギリギリを攻めすぎてホールに近づいてしまわないよう、余裕を持ってエリア内収めるのが賢明な判断と言えるでしょう。
最大限の恩恵を受けるためには、自分が使える範囲を正しく認識し、その中でベストなライを見つけ出す観察眼が必要です。
ボールの泥を拭くことができる条件とプレーへの影響
プリファードライの最大のメリットの一つは、ボールに付着した泥を綺麗に拭き取ることができる点にあります。
ボールに泥がついていると、インパクトの瞬間に不規則な回転がかかり、予期せぬ方向へ大きく曲がったり、飛距離が極端に落ちたりします。
特にフェースとボールの間に泥が挟まるとスピンがかからなくなるため、グリーン上で止まらずにオーバーしてしまうミスも多発します。
プリファードライを活用して常にクリーンなボールで打てるということは、ショットの計算が立ちやすくなり、悪条件下でもスコアをまとめやすくなる大きな武器となります。
面倒くさがって泥がついたまま打つのではなく、権利がある場合は必ず拾い上げて拭くことを強くおすすめします。
タオルを常に携帯しておくか、キャディさんに依頼して、一打一打万全の状態で臨むことが好スコアへの近道です。
プレース後のボールが動いてしまった場合の救済措置
プリファードライでボールをプレースした直後、手を離してからアドレスに入るまでの間に、傾斜や風の影響でボールが動いてしまうことがあります。
基本的に、プレーヤーが原因で動いたのでなければ、無罰でもとの位置にリプレース(戻す)することが可能です。
しかし、一度インプレーになった後に、アドレスをしてからボールが動いた場合は、状況によって判断が難しくなることもあります(現在は自然に動いた場合は無罰が基本)。
重要なのは、プレースする際にボールがしっかりと静止する場所を選ぶことであり、不安定な傾斜の途中などに無理に置かないことです。
もしボールが止まらない場合は、ホールに近づかない範囲で、もっとも近い止まる場所を探して置く必要があります。
ルールを知っていれば焦らずに対処できますが、知らないとそのまま打ってしまったり、誤った処置をしてしまったりする原因になります。
カジュアルウォーターとプリファードライの併用について
雨の日には、プリファードライとは別に「カジュアルウォーター(一時的な水たまり)」の救済ルールも頻繁に登場します。
カジュアルウォーターは、スタンスを取った際に水が浮き出てくるような状況で適用され、完全な救済のニヤレストポイントから1クラブレングス以内にドロップします。
もしプリファードライとカジュアルウォーターの両方が適用できる状況であれば、まずはカジュアルウォーターの救済を受けてドロップし、その後にプリファードライを使ってプレースするという手順を踏むことも理論上は可能です。
しかし、通常はどちらか一方で十分なライの改善が見込めるため、状況に合わせて有利な方を選択するか、スムーズな方を選ぶのが一般的です。
どちらのルールも「異常なコース状態」からの救済ですが、ドロップなのかプレースなのかという処置の違いを明確に区別しておく必要があります。
両方の知識を持っておくことで、最悪のコンディションの中でも最適な選択肢を選び取ることができるようになります。
コンペやプライベートラウンドでのスムーズな進行への貢献
プリファードライは、スコアを良くするためだけのルールではなく、プレーの進行(ペース・オブ・プレー)を早めるための重要な役割も担っています。
泥だらけのボールでミスショットを連発したり、悪いライから脱出に時間がかかったりすることは、ゴルフ場全体の遅延につながります。
特に初心者が多いコンペなどでは、無理に「あるがまま」で打たせるよりも、プリファードライや6インチプレースを推奨した方が、全員が気持ちよくプレーできます。
幹事や上級者は、朝のスタート前に「今日は雨でライが悪いから、フェアウェイはプリファードライでいきましょう」と声かけをすると良いでしょう。
ルールを厳格に守ることも大切ですが、状況に応じて柔軟にローカルルールを活用することは、ゴルフのエチケットやマナーの一環とも言えます。
全員がストレスなく、かつスピーディーにラウンドを終えられるよう、この救済措置を積極的に活用していきましょう。
まとめ:プリファードライを活用して雨の日もナイスプレーを
- プリファードライは悪条件から救済を受けられる正当なルール
- 適用範囲や移動距離は当日のローカルルール確認が必須
- マークを忘れずに拾い上げ泥を拭いてからプレースする
- フェアウェイのみ適用などラフでは使えない場合が多い
- 6インチプレースとは似ているが競技では区別される概念
- 正しい手順を踏むことでペナルティを防ぎスコアを守れる
- 進行をスムーズにするためにも積極的に活用するべき


